ビッグランは、1990年に広島市で創業した老舗自動車販売店です。創業時は「路地裏のビッグラン」と呼ばれ、誰からも「こんなところじゃクルマは売れんのじゃないんか」と言われるような裏通りで開業したビッグランですが、紆余曲折がありながらも、今では新車や中古車販売、車検整備などのメンテナンスや自動車保険、ロードサービスなど、クルマのトータルサービスを行なう自動車販売店に成長しました。いまでこそ、広島市で多くの車両販売を行い、委託販売では全国ナンバーワンの販売実績を持つお店に成長しましたが、創業からリーマンショックの時代には厳しい時もありました。
これからもビッグランは走り続けます!「TVCMやラジオでおなじみの「走れビッグラン」でもっとできる事を考え、クルマ屋としてお客様からもう一度会いたい人のいる、もう一度行きたい店はビッグランと言われるように、成長の階段を走っていきます。そんな社名の由来を、私も、部下も、スタッフ一人ひとりが忘れないため、ここに創業からの物語を記したいと思います。
ビッグラン創業者の増田裕明は、1954年広島市安佐南区祇園にて生まれました。崇徳(そうとく)学園高校を卒業しましたが、テニスやラグビー部で活躍、テニス部では県大会3位になったスポーツ少年です。高校卒業後は東京の駒澤大学に進学、大学卒業後は広島の自動車ディーラーに就職することになりました。
お客さんとおしゃべりしている私からは想像できないと思いますが、実はわたし・・今だから公開しますが、若い頃からコミュニケーションに自信が無く、人としゃべるのが何より苦手。実はコミュニケーション苦手な口下手男なのです。想像できますか?そんな、しゃべるのが嫌いで苦手なわたしが、間違ってディラーの営業になってしまったのです。何を考えて営業職を選んでしまったのか今となってはわかりませんが、入社後無理をして毎日飛び込み訪問を繰り返した結果、一時的にノイローゼになりかけました。
入社前には、仕事を頑張って自分の居場所ができる事を喜びとしていたはずなのに、結果も出せないし、毎日自分は何をやっているのか?など自己否定の日々。同期の仲間は実績を上げているのに自分は・・・と自己嫌悪。精神的にも追い込まれていましたが、人に心配される事が何より嫌いで、誰にも相談せずに内心ひとり鬱な日々を過ごしていた社会人時代でした。
東京に親戚の叔父(実は「風月堂」の元社長)がいたので、大学時代によくご飯を食べに連れて行って貰った時にいつも言われた言葉が「どんなにしんどくても結果が出なくてもとにかく3年はそこで必死で頑張れ!そこで頑張れたらどんな苦しい事が来ても絶対に負けない人間になれる!」という事と「そこで頑張って一番良い状態で惜しまれながら辞めるとこまで行け!」という、という2つのアドバイスを真に受け、叔父との約束を守ることで、何とか努力を続けたところ・・
1〜2年目はディーラーの営業販売コンテスト全国大会で最優秀賞を受賞。生まれて初めてシンガポールへ招待されました。つまり全国で1番優秀な営業マンとして表彰されたのでした。
入社したディーラーを4年間努めてすぐに昇進「次は所長だ」と期待されていたのですが、4年最高の状態まで行って転職することにしました。石の上にも3年とは本当なんですね。と同時に、あれほど苦手であったクルマの営業が3年目ごろには大好きになりました。人とのコミュニケーションを楽しくできるようになったのは、自動車ディーラーでの営業という仕事のおかげでした。
ディーラーで将来を嘱望され一番いい状態の時に退職した理由は、兄の知り合いの中古車販売店のオーナーから「来てくれないか?」とオファーをいただいたのがきっかけです。「来てほしい」と言われれば自分が必要とされている?と単純に思い、素直にすぐ行く事を決めたと同時に、前々から「自分の力を試したい」という自惚れから転職を決めたのでした。
意気揚々入社したものの、全く中古車を売ることができないという現実を見る事になりました。理由は、ディーラーの新車販売方法と、中古車販売店の営業方法の違いによるものです。ディーラーの新車販売とは、顧客との関係性を温めながら長い時間をかけて商談すること多かったのですが、当時の中古車販売の営業は、来店したその場ですぐに契約を迫るという、かなり強引な販売が主流でした。
新車販売のように顧客との関係性を高めていたりすると、お客さんは他社に流れ、他店で契約させられてしまうような、その場で契約を迫る販売手法です。広島の中古車激戦地的での強引な販売方法になじめず、なかなか結果が出せませんでした。
自分にチャレンジで厳しい状況に追い込んでいく当時の営業スタイルに自分を追い込み「腹を決めてやるしかない」と、ここでもトップ営業になりました。今ではバカバカしいと言われる話ですが、昔はこういう追い込み営業が格好良く流行っていたのです。本当にひどい営業スタイルの時代でした。
当時としてはとんでもないところに店を出したと思います。車がすれ違うことも出来ない裏通り。表通りでは家賃も高く借りることも出来ずに、家賃が安く保証人も要らないという理由で、裏通りで開業することになりました。それでも、今までの自分の経験から「お客さんを大事にする理想のクルマ屋をオープンしたい!と独立を決めるのでした。
恥ずかしいお話ですが、貯金ゼロで生命保険を解約した元手260万円で後先考えず開業したので、正直な所お金がありませんでした。昔からの付き合いの銀行がお金を貸してくれる予測の見切り発車で兄に店舗設計を頼み、いざお金を借りに行くと貸してくれず、開店後即閉店になりかけました。運良く工事業者の社長がとある銀行さんに口添えしてくれ、何とか支払いができた情けない恥さらしな開業時のお話です。
こんなところで売れるわけないと言われた、路地裏のビッグランがスタートしましたが、展示車両を並べられない裏通りの店を見て、先輩の車屋社長が「お前・・・ここじゃ車売れんのじゃないんか?」という心配をしていただきました。さらに好きにレストアを始めてみたり、お客さんと呑気にツーリングなど好きな事だけしてしまったりと経営者失格でした。我ながらこんなことで良く独立しようと思ったものです。
後先考えずに裏通りのビッグランをスタートしましたが、しばらくすると、スタッフが入社することになりました。入社してくれたスタッフのために本気で仕事に打ち込み、仕入れ車両を寝ずにチェックし仕事に励むことで販売台数がどんどん伸びていったのです。
当時の中古車販売店のクルマの売り方は、新聞広告が主流でした。そこでビッグランでは、当時創刊したばかりのカー雑誌に掲載したり、走行キロや事故表示など正直に掲載している店も少ない中、全部正直に公開することで「正直な店だ」と人気になったのです。これらの活動は、今でこそ当り前ですが、当時はできるお店がありませんでした。カー雑誌の写真の取り方にこだわったり、価格設定を徹底したり、正直な情報公開を行なうことで、路地裏ながら人気店となり、販売台数も伸びていったのです。
他店が行なわない、仕入れの差別化や広告掲載方法のこだわりを続けることで売り上げは増加し、人材も増え、店舗の横にさらに展示場を新設、整備工場を併設しました。
当時はしっかり仕事してみんなで飲みに行くという、飲みにケーションの時代でした。一緒にみんなで新春ウォーキングを行なったり、体育館を借り切ってスポーツ大会をやったりクルーザーで海水浴に出かけたりと、スタッフみんなでしっかり働き、そして遊ぶのが本当に楽しい時代でした。その当時のスタッフが長く私に付き合って、今でもビッグランで働いていてくれる事に今思えばありがたく心よりうれしく思っています。
スタッフが入社してからは、社員のためにも真剣に事業に取り組み、多くの革新的なアイディアや顧客目線の中古車販売店として人気になり、地域でも有名な「路地裏のビッグラン」として成長しました。
ここから投資を加速しました。石内に新店舗をオープンしたり、2006年には現在の場所に新社屋を移転、さらに新業態としてフィットネス事業部を新設、楽々園駅近くに30分フィットネスカーブス楽々園をオープンするなど、事業の多角化に舵を切りました。
「このままどの事業も順調に成長するはず」と安易に考えていた矢先のこと「リーマンショック」の荒波に飲まれ、中古車の販売台数も急減速、新事業に対しての銀行融資も厳しくなり、投資資金が回収できずひん死状態となったのです。
すべてが思い付きで形を作ればもうかるといった安易な経営判断で今思えば「最悪」な経営者だったと言えるでしょう。ワンマンで箱を作れば儲かるといった考え方で、スタッフの事を本当の意味で心から任せきれず信頼しておらず、耳も貸さず、当然社員との関係性も良くなく、身から出た錆とは言え、経営者である私の不甲斐なさと経営者の孤独を味わった時代でした。この経験が「こんな会社にしたい」「こんな仲間と働きたい」の起爆剤なったのです。
中古車販売店は在庫をたくさん抱えて販売しなければならず、在庫資金が大量に必要となります。「リーマンショック」を機に、今までのように大量に在庫を増やすビジネスから「委託販売」に商機を見出し、委託販売のビジネスプランを研究、委託販売店として人材育成を図るようになりました。
この「委託販売」は5年位成果が出ず、経営は厳しい状況ではあったが、時間をかけ研修を行いスタッフの意識を改革して、徐々に成果が上がるように。自分たちで買い取る車を集めて自分たちの手で売っていく、売りたいと買いたいを繋いでいく委託販売がスタッフ主導でスタートしました。
オートオークションから在庫を仕入れて売る中古車販売店から、売りたいと買いたいを繋ぐ中古車流通業へと業態変化を行い、ビックランの取り組みは日本自動車新聞に大きく掲載されるようになりました。その後この委託販売のビジネスモデルは幾度となく表彰されMVPなどいただくまでに成長、これがスタッフのやる気にも繋がり主体的に委託販売を推進してくれたのではと思います。
ビッグランの委託販売は成果を伸ばし、いまではビッグランの顧客に人気のサービスとなっています。2023年には委託販売のFC「カーリンク」の全国新春大会にてMVPを獲得、全国最優秀賞を受賞し、全国のモデル店舗となるほどに成長しました。
その後フィットネスも軌道に乗り店舗数を増やしていきました。この頃大事だと感じたことは、スタッフと共に自分も学び共に成長していく事だということです。学ぶことの大事さとチームスタッフと同じ方向を見てビジョンを実現するため、こんな会社を作りたい!の本当の意味を理解し自分で整理し、会社のビジョン「もう一度会いたい人のいるもう一度行きたい店を創る」を新たに覚悟した時期でした。この時代は本当にスタッフに感謝です。
リーマンショックを経て、スタッフと共に学ぶ店を目指したビッグランはさらに強くなり、顧客を大切にする店としてさらに成長、顧客をもてなす試みとして「お客様感謝祭(ビックラン祭り)」を開催しました。お客様感謝祭(ビッグラン祭り)には本当にたくさんの方に来ていただき感謝!ご協力いただいた協力店さんへの感謝のおもてなしとして、打ち上げBBQも大変楽しく良い関係性が作れるようになりました。また、感謝祭開催の企画や準備はスタッフ一同「どうしたらお客様喜んでくれるだろうか?」を一緒に考え準備したりするのもスタッフ同士の関係性もさらに良くなりました。
ビッグランはトータルカーサービスの充実を加速しています。地域密着レンタカーを開始し、ご近所の皆さまにご活用頂いています。新車をお得に買える超低金利販売やリース販売、売りたいと買いたいを繋ぐ委託販売、車の磨きやガラスコーティングなどカーディテイリングの促進、さらに独自ブランドの高品質タイヤの提供や、最高級のオイルをリーズナブルに提供するしくみなどの構築を行ない、車のプロショップとして本当にお客様にとって良いものや提案していける商品開発を進めています。
ビッグランでは、新車のリース販売や低金利販売などの新車販売・中古車の委託販売や注文販売などの中古車販売・車検点検やオイル交換やタイヤ交換などのカーメンテナンス・レンタカー・鈑金修理やコーティングなど、自動車に関するあらゆることについて対応できる、自動車総合ディーラーとして広島市の多くの顧客に認められています。
ビッグランのスタッフは、車に関する事なら何でも知っている、びっくりするほどクルマに詳しい人ばかりです。そのため販売担当者と整備窓口を別にすること無く、販売担当者がその後のカーメンテナンス全てについて担当する「生涯サポート」を目指しています。ディーラー等では分業や自動化が進んでいますが、私たちはあなたの要望をしっかり聞いて「困った」を解決できるお店です。スタッフ全員が車の事ならどこにも負けない「最善の提案」できる事を誇りとして胸を張れるような職業にしたいと思っています。そしてみんなで仕事を楽しくできる仲間であったり何でも言い合える仲間であったり、みんなの居場所がここビッグランとなれるよう願っています。
ビッグランのビジョン「もう一度会いたい人のいるもう一度行きたい店を創る」ためには、スタッフ一人ひとりが主体的に考えて、自分の顧客にために行動を起こすことが必要です。そのため私たちは、自主自立した組織づくりの基本として注目を浴びている「ボトムアップ理論」を社内で取り入れ、スタッフ自らの自主性を重視しています。広島県の無名高校サッカー部をインターハイ優勝に導いた畑喜美夫先生に指導を仰ぎ、ビッグランではスタッフ一人ひとりが自ら顧客のために考え行動できる組織に育ちました。その成果は氏の書籍で成功事例店舗として紹介されています。現在はボトムアップ理論に基づいて自ら考えて行動できる自主自立した組織創りに取り組んでいます。やらされ感のないスタッフが主役となれる会社ビッグランをめざし、今も走り始めています。
令和2年には創業30周年を迎え、広島で活躍するシンガーソングライター「ヤルキスト」さんに作曲を依頼して「my song for you~走れビッグラン」という最高の歌ができました。
これがご縁でFM広島の人気番組、江本一真の「ゴッジ」のスポンサーに。地域で多くの方に認知して頂ける販売店となっています。江本一真の「ゴッジ」では、お得なお車の販売情報や特選車の紹介なども行なっていますので、ぜひラジオも聴いてみてくださいね!
ビッグランの顧客は、ご購入いただいた方(お父さん)の息子さんお孫さんの3世代の方、つまり一族皆様全員に車を販売させていただいているご家族も多くいらっしゃいます。その家族の歴史が全部わかり、まるで親族か親友のようなお付き合いをさせていただいているお客さまもいらっしゃいます。飽きもせず(笑)私に付き合って来ていただいた皆々様方に、心よりの感謝の気持ちしかありません。このことを思うたびに、自分は車の営業をしてきて本当に良かったと思います。ここまで親しくさせて頂ける営業は自動車の営業以外はないと仕事に誇りを持っています。色んな縁が重なって今日までこんな大好きなクルマ屋を続けてこられたことに、関わっていただいたたくさんの皆様に心よりお礼と感謝を申し上げます。
これからもビッグランは走り続けます!走れビッグランでもっとできる事を考え、クルマ屋としてお客様からもう一度会いたい人のいるもう一度行きたい店を目指して成長の階段を走っていきます。
株式会社ビッグラン 代表取締役 増田裕明